【2026W杯決勝T(ラウンド32)第9戦】ベルギー大逆転!残り4分から2点差追いつきセネガル破る

※本記事に記載されている内容は、あくまでも筆者個人の感想および戦術的見解であり、公式な見解を示すものではありません。

FIFAワールドカップ2026、1つの黒星が即座に帰国を意味する残酷なノックアウトステージ(ラウンド32)。グループGを1勝2分けの首位で通過しながらもフィニッシュワークに課題を残していた「レッドデビルズ」ベルギー代表と、死のグループIを驚異の8得点で生き残ったアフリカの雄セネガル代表が激突しました。試合はセネガルが圧倒的なインテンシティ(強度)で2点を先行する絶望的な展開となりましたが、後半残り4分からベルギーの底力が爆発。わずか3分間で同点に追いつき延長戦へ持ち込むと、延長後半20分にユーリ・ティーレマンス(ティーレマンス)が劇的なPKを突き刺し3-2で大逆転勝利!二世代目の悪魔たちが死線をくぐり抜け、ベスト16へと駒を進めました。

試合は前半24分にセネガルのディアッラ(ディアッラ)に先制を許すと、後半6分には大会4試合連続ゴールとなるイスマイラ・サール(Iサール)の電撃弾で0-2。セネガルの盤石なゲームクローズかに思われましたが、リュディ・ガルシア監督(ガルシア監督、後半に警告)が後半頭に投入したロメル・ルカク(ルカク)の重戦車アタックからドラマが始まります。

最終スタッツのシュート数は「ベルギー20本 vs セネガル19本」(枠内5対4)、ゴール期待値でも「セネガル2.43 vs ベルギー2.10」と、互いの戦術規律が火花を散らした120分間。プロのサッカー解説者の視点から、このエモーショナルな逆転サバイバルを徹底的に解剖します。

目次

1. 両チームのシステムとゲームプラン:ルカクをジョーカーに残したベルギーの「4-2-3-1」と、マネを左翼に配したセネガルの「4-1-2-3」

まずは、ピッチ上に並んだ両チームのスターティングメンバーと、それぞれの指揮官が用意したゲームプランから紐解いていきましょう。

ベルギー:デ・ブライネを中心に幅を使った「4-2-3-1」

ベルギーは、セネガルの物理的な強度に対抗すべく、ポゼッションスタイルをベースにした「4-2-3-1」を選択。最終ラインは右からティモシー・カスターニュ(カスターニュ)、ブランドン・メシェレ(メシェレ)、アルトゥール・テアテ(テアテ)、マキシム・デ・クーパー(デクーパー、後半途主にムニェ)。中盤の底にティーレマンスとファナケン(後半途主にモレイラ)。2列目は右にジェレミー・ドク(ドク、後半途主にルケバキオ)、トップ下にケヴィン・デ・ブライネ(デブライネ、後半途主にラスキン)、左に好調のレアンドロ・トロサール(トロサール、延長後半にオナナ)。最前線にシャルル・デ・ケテラーレ(デケテラーレ、後半からルカク)を据えました。

ベルギーのプランは、デ・ブライネの精密な配給からドクの圧倒的なドリブルでサイドをストレッチさせ、トロサールがハーフスペースに進入してフィニッシュワークの課題をスクラップ(修正)する狙いでした。

セネガル:強烈なトランジションでハイプレスを掛けた「4-1-2-3」

対するセネガルは、持ち前のハードワークを最大化させる「4-1-2-3(4-3-3)」を採用。最終ラインは右からディアッタ(後半終盤にアウルスネス※あるいは後方タレント)、ムサ・ニアカテ(ニアカテ)、パプ・アブ・シス(シス)、イスマイル・ヤコブス(ヤコブス、延長前半にE・ディウフ)。アンカーにパプ・ゲイェ(Pゲイェ、後半途主にL・カマラ)を置き、中盤にイドリサ・ゲイェ(Iゲイェ、延長前半にB・エンディアイェ)とディアッラ(後半途主にP・サール)。前線は右にイリマン・エンディアイェ(Iエンディアイェ、後半途主にエンバイェ)、左にサディオ・マネ(マネ、延長前半にジャクソン)、最前線に爆速のI・サールが陣取る迎撃布陣です。

セネガルの狙いは明確でした。前半15分時点でポゼッション率62%を記録した通り、強度の高さで球際の勝負をハントすること。マネのキープ力とI・サールのスピードを活かしたカウンターで、ベルギーの最終ラインの背後を一気に刺すゲームプランでした。

2. 【前半〜後半の攻防】セネガルの電撃2発と、ルカクが呼び込んだ3分間の奇跡

前半はセネガルが圧倒。前半24分、マネの正確な左クロスからI・サールのシュートが枠を叩いたこぼれ球を、ディアッラが右足でゴール上に叩き込んで先制。

【ベルギー 0 – 1 セネガル】(前半24分)

さらに後半6分、後方からの浮き球に反応したI・サール(試合を通して5本以上のシュートを記録)がペナルティエリア中央から右足でゴール右上に豪快に突き刺し、0-2。セネガルが完全にゲームを窒息させたかに見えました。

【ベルギー 0 – 2 セネガル】(後半6分)

後半41分&44分:悪魔の目覚め。ルカクの追撃弾からティーレマンスの同点ヘッド!

ここからガルシア監督の交代策(ルケバキオがドリブル成功5回を記録、ラスキンらも躍動)によるスクラップ&ビルドが実を結びます。後半41分、途中出場のトーマス・ムニエ(ムニエ)の鋭いクロスに、中央で完璧にボールを収めたルカクが右足でゴール右上にねじ込んで1-2。 スタジアムのムードが一変したわずか3分後の後半44分、エリア手前でタメを作ったトロサールの極上パスに対し、走り込んだティーレマンスがペナルティエリア中央からヘディングシュートをゴール上へと突き刺して2-2!土壇場で試合を振り出しに戻し、延長戦へと持ち込みました。

【ベルギー 2 – 2 セネガル】(後半44分)

3. 【延長戦の死線】メシェレ・テアテのパス100本超えと、VARサポートを経た劇的PKクローズ

延長戦に入ると、ベルギーはCBメシェレとテアテの2名が揃って「パス数100本」の大台を突破し、チーム総パス数も驚異の「650本」を記録する圧倒的な時計コントロールを展開。セネガルも交代出場のサナブリア(※ジャクソンら)やP・サール(延長後半に強烈なFKを放つも枠外)を中心にプランBの速攻を仕掛けますが、守護神ティボー・クルトワ(クルトワ)が立ちはだかります。

延長後半20分:オンフィールドレビューの緊迫。ティーレマンスが撃ち抜いた栄光の瞬間!

延長後半12分、エリア内で仕掛けたティーレマンスがL・カマラ(後半22分に警告)からファウルを受けてPKを獲得。主審はオンフィールドレビュー(OFR)を実施し、レフェリーレビューエリアでの入念な映像確認を経て判定を確定。延長後半20分、この日最大の重圧がかかるキックをティーレマンス自らが右足でゴール右上に完璧に突き刺して3-2!直後にタイムアップのホイッスルが鳴り響き、大逆転劇が完結しました。

【ベルギー 3 – 2 セネガル】(延長後半20分)

4. 戦術的総括:勝敗を分けた3つのポイント

① ユーリ・ティーレマンスの「120分間を支配した」キャプテンシーと2ゴール

この激闘の文句なしのMOMは、背番号8(ティーレマンス)です。後半44分の起死回生の同点ヘッド、そして延長後半20分のプレッシャーがかかるサドンデス盤面でのPK。リスク管理を徹底しながら、シュート総数20本を数えたチームの攻撃を最後の1秒まで100%コントロールしきったクオリティは見事満額回答でした。

② 指揮官による「ルカク&ムニエ投入」という選手層マネジメントの勝利

ベルギーのベンチワークが極めて秀逸でした。セネガルの高いインテンシティの前に窒息しかけていた時間帯、後半頭からルカクを注ぎ込み、終盤にムニエを右サイドへ送り込んだことでネガティブトランジション(切り替え)の強度が劇的に引き上がりました。ムニエのアシストデータが示す通り、この力強いシフトが奇跡を呼び込みました。

③ セネガルの「2点リード後の気の緩み」と、一歩及ばなかったリスク管理

セネガルとしては、I・サールの驚異的な4試合連続ゴールを含め、前半から球際の強度でベルギーを圧倒したフットボールの完成度は完璧でした。それだけに、後半40分を過ぎて時計の針を進めようとしたシチュエーションにおいて、ディフェンスライン(ニアカテら)のマークの受け渡しのズレ、一瞬の気の緩みからわずか3分間で失点を重ねてしまったことだけが唯一の明暗を分けました。

今後の展望:ベルギー代表が歓喜のベスト16進出!セネガルは誇り高き終戦

地獄の底から這い上がり、強豪セネガルを完全撃破したベルギー代表。ルカクの圧倒的な破壊力の復調に加え、ティーレマンスを中心とした高い修正力、そしてパス数650本を記録するクローズ戦術の成熟度は、次戦の一発勝負においても対戦国にとって最大の脅威(天敵)となるはずです。

一方、3回(※2点)のリードを守りきれず無念の敗退が決まってしまったセネガル代表ですが、マネを中心に世界のトップを相手にここまで強烈な牙を剥いたそのフットボールは、アフリカ勢のインテンシティの高さを世界に証明しました。この世界の頂点で得た素晴らしい経験とシビアな教訓を糧に、彼らが再び強固な規律を取り戻してくるのか、テランガのライオンズの未来のドラマからも目が離せません。

(執筆:サッカー解説者)

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