【2026W杯決勝T(ラウンド8)第1戦】フランスが22年大会の再現でモロッコを2-0撃破!4強一番乗り!

※本記事に記載されている内容は、あくまでも筆者個人の感想および戦術的見解であり、公式な見解を示すものではありません。

FIFAワールドカップ2026は、いよいよ世界の頂点を見据える準々決勝(ベスト8)の火蓋が切って落とされました。注目度最高潮の一戦となったのは、2022年カタール大会の準決勝で激突したカードの再現。パラグアイの堅牢なブロックをじれずにこじ開け、手札と引き出しの多さで着実に勝ち上がってきた「レ・ブルー」フランス代表と、カナダ戦での予行練習を糧に我慢比べから焦りを誘うプランで雪辱を誓う「アトラスのライオン」モロッコ代表のサバイバルマッチ。結果は、120分間の勤続疲労やエースのPK失敗という動揺を一切見せなかったフランスが、圧倒的な個のクオリティと手堅いゲームコントロールで2-0と完勝!カタール大会と同一のスコアでモロッコを返り討ちにし、ノックアウトステージ無失点を継続したまま、危なげなく準決勝(ベスト4)一番乗りを果たしました。

フランスは前半28分に大黒柱キリアン・エムバペ(エムバペ)が自ら獲得したPKをモロッコの守護神ヤシン・ブヌ(ブヌ)にキャッチされる衝撃の展開を迎えたものの、後半15分にそのエムバペが名誉挽回の今大会8ゴール目を奪って先制。直後の21分にはウスマン・デンベレ(デンベレ)が電撃の追加点を毟り取り、モロッコの不屈のメンタルを完全にスクラップ(破壊)しました。

最終スタッツのシュート数は「フランス23本 vs モロッコ5本」(枠内9対1)、ゴール期待値でも「フランス2.92 vs モロッコ0.20」と、戦前の前評判通りのワンサイドゲームを完結させたフランス。プロのサッカー解説者の視点から、この高次元なタクティカルディテールを徹底的に解剖します。

目次

1. 両チームのシステムとゲームプラン:ドゥエを左翼に復帰させたフランスの「4-2-3-1」と、サイバリ負傷欠場に揺れたモロッコの「4-2-3-1」

まずは、ピッチ上に並んだ両チームのスターティングメンバーと、それぞれの指揮官が用意したゲームプランから紐解いていきましょう。

フランス:ドゥエを先発に戻し、エムバペを左から中央へ流動させた「4-2-3-1」

フランスは、ほぼスタメンを固定する連戦の中で1人の変更を断行。バルコラに代えてデジレ・ドゥエ(ドゥエ、後半途主にバルコラ)をノルウェー戦以来の先発に復帰させる「4-2-3-1」を採用。最終ラインは右からジュール・クンデ(クンデ、後半終盤にギュスト)、ウィリアン・サリバ、ダヨ・ウパメカノ(ウパメカノ)、リュカ・ディニュ(ディニュ)。中盤の底にマヌ・コネ(コネ、後半途主にザイール=エメリー)とアドリアン・ラビオ(ラビオ)。2列目は右にデンベレ(後半終盤主にマテタ※配置可変)、トップ下にミカエル・オリーズ(オリーズ)、左にドゥエ。最前線にキャプテンマークを巻くエムバペが陣取りました。

フランスのプランは明確でした。ボールホルダーに無理に寄せない守備を選択したモロッコに対し、攻撃に人数をかけて容易にアタッキングサードへ前進。守備ブロックの外側からディニュやドゥエが揺さぶりをかけ、オリーズの左足配給からボックス内を窒息させる狙いでした。

モロッコ:サイバリ不在のハンディキャップを組織で埋めにかかった「4-2-3-1」

対するモロッコも同じく「4-2-3-1」のミラーシステムを選択。しかし、ラウンド16からスタメンを2人変更。ハルハルとエースのサイバリが外れ、サラーエディン(サラーエディン、後半途主にエルウアディ)とタルビ(タルビ、後半終盤にスバイ)を抜擢。最終ラインは右からアクラフ・ハキミ(ハキミ)、ディオプ(ディオプ、後半に警告/後半終盤主にサーダン)、パチョ、ヌサイル・マズラウィ(マズラウィ)。中盤の底にブアディ(後半途主にアムラバト)とエルアイナウィ。2列目は右にブラヒム・ディアス(ディアス、後半途主にヤシン)、トップ下にアゼディン・ウナヒ(ウナヒ)、左にタルビ。最前線にビラル・エル・カンヌス(エルカンヌス、後半途主にラヒミ)を配しました。

モロッコの狙いは、カナダ戦での予行練習通り、低い位置で徹底的にスペースを消すローブロックを形成し、我慢比べに持ち込むこと。奪った瞬間にウナヒからハキミのインナーラップを解放し、数少ないチャンスをハントするゲームプランでした。

2. 【前半の攻防】エムバペのPKストップを完遂したブヌの壁と、フランスの圧倒的猛攻

前半の45分間(アディショナルタイム含め51分間)は、フランスがボール占有率50%(五分)ながらも、攻撃のインテンシティでモロッコを自陣に窒息させにかかる完璧なハーフコートマッチを展開。前半20分までにシュート5本、前半終了時には13本を数えるアタック規律を披露します。

前半25分:エムバペの快速カウンターからハントしたPKの好機

試合は前半25分、オリーズの極上スルーパスに抜け出したエムバペがエリア左へ進入。マズラウィのタックルに遭って倒され、主審は迷わずPKを宣告。

前半28分:これぞ世界最高の門番。ブヌがエムバペのシュートをキャッチ!

前半28分、先制の絶対的シチュエーションでキッカーを務めたのはエムバペ。右足でゴール右下を鋭く狙いましたが、モロッコの守護神ブヌが完璧な読みからシュートを正真正銘の「キャッチ」!スタジアムを驚愕させるファインセーブで王者の先制をハントさせません。

しかし、フランスの戦術理解度の高さは、この失敗でも一切スクラップされません。前半35分にはドゥエが鋭い奪取から枠内シュートを放ちブヌがセーブ。前半47分にはディニュの目の覚めるようなミドルシュートがクロスバーを直撃するなど、モロッコにシュートわずか1本(ハキミのFK枠外)しか許さない完璧なクローズで前半を折り返しました。

3. 【後半の混沌】エムバペの名誉挽回弾と、デンベレが勝負を決めた冷徹な追加点!

後半立ち上がり、モロッコはウナヒの配給からディアスのクロス、タルビのドリブル突破などプランBの速攻でフランスを慌てさせ、ハキミのショートコーナーからチャンスを作ります。しかし後半15分、世界最高のクラックが自身のミスを100%満額回答でブラッシュアップします。

後半15分:メッシに並ぶ今大会8点目!エムバペが右足で射抜いた先制ゴール!

後半15分、クンデのクロスがマズラウィにクリアされたセカンドボールハントに、誰よりも早く反応したのがラビオでした。ラビオの頭での折り返しからドゥエを経由してエリア左で受けたエムバペが、対峙したディオプ(後半18分にエムバペへのタックルで警告)を構わずに右足一閃。放たれた強烈なシュートがゴール右隅へと冷徹に突き刺さり、リオネル・メッシに並ぶ今大会8得点目でフランスが先制!

【フランス 1 – 0 モロッコ】(後半15分)

後半21分:オリーズのタメから、デンベレがブヌの牙城を崩した2点目!

ビハインドを背負ったモロッコが前傾姿勢を強めてマークの受け渡しのズレ(隙)を生み出すと、フランスの無慈悲な逆襲が炸裂します。後半21分、中盤でパスを引き出したオリーズが中央を持ち上がり、エムバペとの鮮やかなワンタッチでの落としの連動から、中央をドリブルで運んだデンベレがペナルティアーク内から右足をコンパクトに振り抜きます。ブヌの手を弾いたボールがゴール右に決まり、2-0。

【フランス 2 – 0 モロッコ】(後半21分)

4. 【最終盤の死線】ザイール=エメリー&バルコラの躍動と、完封完結のゲームクローズ

リードを広げたフランスのアンリ監督(あるいは指揮官)は後半26分にザイール=エメリー、後半32分にはエムバペとドゥエを下げてブラッドリー・バルコラ(バルコラ)とランダル・コロ・ムアニ……ではなくジャン=フィリップ・マテタ(マテタ)を注ぎ込む、疲労を考慮した完璧な選手層マネジメント(スクラップ&ビルド)を完遂。

モロッコもハキミの正確なFKからウナヒが狙い守護神マイク・メニャン(メニャン)の好守に阻まれ、後半39分のCKからエルアイナウィがヘディングで肉薄する意地を見せましたが、フランスのサリバを中心とした防衛規律は一切揺らぎません。アディショナルタイム(6分)の後半49分にはデンベレの横パスからマテタが決定的な枠内シュートを放ちブヌがセーブ。最後まで攻撃の手を緩めない圧倒的な风格のまま2-0でタイムアップ。フランスが激戦をクローズさせました。

5. 戦術的総括:勝敗を分けた3つのポイント

① キリアン・エムバペの「歴史に名を刻む不屈のメンタリティー」

フランスが勝利を収められた最大の理由は、背番号10(エムバペ)の存在感に尽きます。前半のPK失敗という極限の精神的重圧やフラストレーションがかかる盤面を自らスクラップ(破壊)し、後半15分の一瞬の好機を仕留めきって今大会8得点目(史上初の2大会連続得点王へ王手)を記録した個の力量こそが高評価に値します。

② 数分の隙を逃さなかった、フランスの「高速トランジションと選手層の厚み」

モロッコが失点を取り返すためにプランBへとシステムを可変させ、マークの受け渡しが数センチズレた瞬間をオリーズ、エムバペ、デンベレのコンビネーションで完全にハントしました。終盤にザイール=エメリーやバルコラ、ギュスト(ギュスト)をを送り込み、全体のネガティブトランジションの強度を落とさずにゲームを締めくくったタイムマネジメントも見事です。

③ モロッコの「流れの中からチャンスを作れなかった」限界と疲労のツケ

モロッコとしては、30度超の連戦の疲労やサイバリ不在という大きな代償を抱えながらも、前半にポゼッションを5割維持してフランスの猛攻に耐え抜いたローブロックの完成度は素晴らしかったです。それだけに、奪った後にテンポを上げられず、流れの中からの枠内シュートわずか1本に窒息させられてしまい、セットプレー以外で決定打を欠いたことだけが唯一の重い明暗を分けました。

今後の展望:レ・ブルーがベスト4進出!モロッコは誇り高き終戦

過酷な準々決勝を2-0のクリーンシートでクローズしたフランス代表は、目標である連覇(あるいは王座奪還)へ向け、堂々のベスト4進出を決定づけました。エムバペの異次元の決定力に加え、オリーズのチャンスメイク力、そして何よりノックアウトステージに入ってから相手の攻撃をシャットアウトし続ける鉄壁の防衛規律は、次戦の準決勝において、対戦する他国の進出チームにとっても最大のプレッシャー(天敵)となるはずです。

一方、22年大会の再現とはならずベスト8で無念の敗退が決まってしまったモロッコ代表。しかし、ハキミを中心に世界のトップを相手に最後まで集中を切らさずに戦い抜いたその勇敢なハードワークと高い組織力は、アトラスのライオンたちのプライドを世界に完全に証明しました。この大舞台でのシビアな教訓を糧に、彼らが再びどのように強固な規律を取り戻してくるのか、モロッコフットボールの未来のドラマからも目が離せません。

(執筆:サッカー解説者)

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